2022年〜2023年にネットやテレビなどのメディアで取り上げられ物議を交わしている「コオロギ食」。
日本政府が昆虫食をゴリ押しし始め、高校の給食などでも提供されるなど注目が集まっていますが、多くの批判が集まっているようです。
今回は、コオロギ食が炎上した理由についてまとめてお届けしていきます。
コオロギ食が大炎上し批判殺到!
近年SDGsの取り組みの一環などから広まってきている昆虫食。
その中でも急速に普及しつつあるのがコオロギ食です。
2022年11月、2023円2月と徳島県の小松島西高校でコオロギパウダーを使った給食を出されたことが報じられたことをきっかけに、ネット上では批判の声が上がっています。
コオロギのデメリット
①アミノ酸が足りなくてタンパク質として欠陥品
②プリン体が煮干しのさらに数倍、痛風マッハ
③エサの規制がないので人間用ではない抗生物質などが混入確定で危険
④エサに動物性タンパク質を与えないと共食いするので結局タンパク質問題を解決しないコオロギのメリット
利権— 暇空茜 (@himasoraakane) March 3, 2023
「食料危機だからコオロギ喰え」と言いながら、政府から酪農家へ親牛殺処分で補助金15万円。
タンパク質が足りないなら休耕田で窒素不要の大豆育てるための補助金出せ、アホ政府!
— ナトリウム子ちゃん (@natoriumuchan) February 27, 2023
たしかにコオロギは現状食品の表示義務の対象外だけど、エビ・カニと同様のアレルギーが起きる可能性があることを隠して販売したらおそらく処罰の対象になる。
そういうわけで企業が食品にこっそりコオロギパウダーを混ぜる、なんて行為はまずありえない。
そもそも高いからね、コオロギ。— 九重桜龍【ゆっくり騎空士】 (@kokonoeoryu) February 28, 2023
コオロギ食うより毎年ありえないほど捨てられてるフードロス減らす方が良くね?
— MMムコ@ノドグロ大臣 (@MKsanIAR) February 26, 2023
該当の高校ではコオロギ粉末入り給食については「食べるかどうかは任意」とされていました。
しかしながら、多くのメディアではコオロギ食を「食糧危機や環境問題に配慮した代替食材」として大きく取り上げており、メディアのゴリ押しに嫌悪感を示す声が多くあがっています。
コオロギ食が炎上・批判が殺到した理由まとめ
それでは、いまコオロギ食が炎上している理由を見ていきましょう。
中には勘違いや決めつけ、デマ情報で炎上につながっている話題もあるようなので、その辺りも解説していきます。
①莫大な補助金?
コオロギ食の炎上のきっかけの1つに予算6兆円ツイートがありました。
2023年2月15日頃からTwitterにて「コオロギ事業に補助金が出ていた。予算に6兆円以上の血税が使われていました。」という投稿が拡散されました。
引用:BuzzFeed
「コオロギに関わるSDGs関連予算6.3兆円」と記された画像もあわせて拡散されましたが、ツイートの内容は根拠のないデマ情報でした。
2022年度の農林水産関係予算は2兆2千億円ほどで、1つの事業に6兆円以上の補助金を出すのは無理な話です。
その他の予算関係の数字を見ても、コオロギ事業に6兆円以上の補助金が出るというのは現実的ではありませんでした。
ですが、こうした真実は実際の数字を調べなければわからないものです。
手軽に見れるTwitterの情報を信じてコオロギ事業を批判する人は相当な数になっていたと見られています。
②利権に補助金
炎上理由の2つ目は、利権への補助金説です。
またしても補助金関係の批判ですが、こちらは実際に存在する補助金のお話。
現在日本では、コオロギ養殖の認定農業者になると、農業用機械や農業用施設の導入に対する補助金を始め、農業経営基盤強化準備金制度や低金利融資といった手厚い支援を受けられるとされています。
この情報から「コオロギ事業なんかに制度を作るなんて!」「利権からくるゴリ押し!」という批判が殺到したのです。
しかしながら、この認定農業者に支援がある制度は、コオロギ事業だけを対象にしたものではありません。
コオロギ事業専用ではなく、他の農畜産業についても条件が合う事業には補助金が出ます。

また、補助金の申請先は各市町村や都道府県で、認定するかどうかは各認定庁が決定します。

認定を受けるためには、経営規模の拡大に関する目標などを提出する必要もあり、それなりのハードルも設けられおり、日本に存在するさまざまな補助金制度と何ら変わりはありません。
補助金のページに「コオロギ」という単語が出てきているわけでもなく、コオロギ食事業がたまたまた補助金対象になるというだけです。
「コオロギ事業をするだけで補助金がもらえる」「国がコオロギ事業を優遇して特別な補助金を出している」という訳ではないということがよく分かりますね。
③政府がゴリ押し?
炎上理由の2つ目は、政府のゴリ押し説です。
食用コオロギの話題が炎上する中、ネット上には河野太郎さんや小泉進次郎さんがコオロギ食を試食する写真が出回りました。
ネット上では「政府のゴリ押し」「国が流行らそうとしている」という声が上がりました。
しかし、河野太郎さんの写真は2022年に行われたベンチャー企業発表会のときのもの。
この発表会にはコオロギ食の会社だけではなく、ごみステーションやホテルの複合施設の運営会社や小児リハビリの普及などに取り組む会社、クラウド型のタクシー配車システムを提供する会社など5社の代表が参加していました。
また、この時の河野太郎さんはコオロギだけではなくミックスナッツも口にしており、当時の記事ではコオロギについては「おいしかった。抵抗なく、あっさり」というコメントが一言掲載されたのみでした。
コオロギ食だけを贔屓して絶賛しているわけではありません。
1年以上前の企業発表会の写真だけで「政府がコオロギ食を大絶賛してゴリ押し!」と騒ぐのはどうなのでしょうか。
④アレルギーの危険性
ネット上では、甲殻類アレルギーの危険性も話題になっています。
コオロギはアレルギー表示の対象ではありませんが、近縁種のエビやカニなど甲殻類と類似成分を含んでいるため、エビやカニのアレルギーを持つ方はコオロギの摂取によりアレルギー症状を起こす可能性があるとされています。
給食にコオロギが使われたことで「アレルギーの子に影響が出る!」と批判されていましたが、コオロギを給食に使用した高校では、
- 試食という形で先生と生徒が調理実習で給食を作る
- アレルギーの説明も行われ、体質的に難しければ食べないでほしいと連絡
という体制をとっており、食べるか食べないかは自由に選択することができたとされています。
今回の給食の件については、アレルギーの危険性は適切な対応がなされていたので問題はなかったと言えるでしょう。
⑤ボツリヌス菌の危険性
ボツリヌス菌は、土壌や海、湖、川などの泥砂中に分布している嫌気性菌で食中毒や神経麻痺、呼吸機能障害を引き起こす可能性のある菌です。
土で生活するコオロギには、付着している可能性もあるため危険性が指摘されています。
しかし、ボツリヌス菌は熱や消毒薬に弱いため、食用に加熱されたコオロギから中毒を起こす可能性は極めて低いとされています。
コオロギに限らず、蜂蜜やイナゴにも含まれている菌ですので、特別コオロギだけが危険というわけではありません。
⑥専門家が「意味がない」と発言
2023年3月2日放送の日本テレビ系朝の情報番組「スッキリ」では、コオロギを取り入れた給食に関するニュースを扱いました。
MCの加藤浩次さんは「全員に強制したんだったら苦情言うのは分かる」と過剰反応ではとの見解を示し、コメンテーターのモーリー・ロバートソンさんも日本人が生魚を食する事例を挙げてコオロギにアレルギー反応を示す傾向を疑問視する意見を述べました。
そんな中、経営評論家の坂口孝則さんはコオロギ食の流行をバッサリと切り捨てる発言をされました。
一方、経営評論家の坂口孝則さんは「この雰囲気の中、非常に言いづらいんですが本音で言うと」と前置きし、「昆虫食やコオロギ食は意味が無い」と切り捨てた。 続いて、食品問題ではフードロス削減が第1優先事項だと主張。未来の食料危機に備えてコオロギの有効性が注目されてきている点についても、そういう事態に陥った際には「とうもろこしも入らない。小麦も入らない、化学肥料も入らない」状態になるとし、「この状態でコオロギって作れるんですか?そもそも…」と疑問を投げかけた。昆虫食だけでなく、フードロスを含めた食品問題を広く教育現場で議論すべきだとした。
引用:中日スポーツ
この発言により、コオロギ食批判派のネット民は批判の声を強める事態に。
確かに、代替え品よりも現状の食品問題の改善にまず力を注ぐべきではありますね。
コオロギ食の炎上は陰謀論?企業に影響も
食用コオロギの普及についての話題が炎上していますが、中には「炎上させているのは陰謀論信者」という説も出ています。
炎上した理由を辿ってみると、ガセネタや勘違いも複数あり、「過剰に反応しすぎ」と思えるものも増えており、コオロギ事業に取り組んでいる会社への影響が心配されるところ。
Pascoで知られる製パン大手「敷島製パン」は、2020年12月から「Korogi Cafe(コオロギカフェ)」シリーズを展開しています。コオロギパウダーを配合した商品を通販限定で販売した際には発売開始2日で完売したほど好評を博し、メディアにも多く取り上げられています。
引用:朝日新聞デジタル
しかし、2023年2月中旬ごろから昆虫食の是非がツイッターで議論となってから、陰謀論や荒唐無稽な言説を根拠に、敷島製パンにも電凸や不買を呼びかける投稿も急増。
こうした被害に、敷島製パンは商品サイトに注意事項として、アレルギーや製造場所等の説明を追加しました。
敷島製パンと共同で「Korogi Cafe(コオロギカフェ)」に取り組んでいる昆虫食の大学発スタートアップ「FUTURENAUT」(群馬県高崎市)は、
「科学的根拠のない風評の流布には顧問弁護士と相談の上、厳正に対処する」
として、場合によっては法的措置を検討するとしています。
まとめ:食べるか食べないかは個人の自由
コオロギ食の炎上騒動について、炎上のきっかけとなった情報や関連企業への影響を紹介させていただきました。
様々な見方ができる話題ですが、結局のところコオロギを食べるか食べないかは個人の自由です。
実際に政府やメディアがゴリ押しをしていたとしても、今のところ強制的に私たちの食事に混入されているわけではありません。食べたい人だけが選択して食べることができる状態です。
コオロギ事業専用に莫大な補助金が出されているわけでもありませんので、他の食品のブームと基本的には同じと考えて良いでしょう。
興味がない人や、嫌悪感がある人は食べなければいい、それだけの話です。
コオロギ色に限らず、現在ネット上には様々な情報が飛び交っており、何を信じるかは個人の自由。
しかし、根拠のないデマ情報や過激な解釈をする陰謀論に踊らされて、企業に攻撃をしたり迷惑をかけることは絶対にやめましょう。