日本で活動している宗教団体の中でも有名な新興宗教・エホバの証人。
訪問での勧誘も多いことや輸血の禁止事項などは有名ですが、実際にどんな宗教団体なのかを知らない方も多いかと思います。
今回は、エホバの証人がどんな宗教なのか、活動内容などを紹介させていただきます。
エホバの証人とはどんな宗教?
エホバの証人の概要
エホバの証人は、19世紀にアメリカで発足した聖書研究運動に端を発するキリスト教風の新興宗教団体です。
分類 | キリスト教系の宗教、三位一体の否認、霊魂消滅説 |
組織構造 | エホバの証人の組織構造(Wikipedia) |
地域 | 日本含む世界 |
創設者 | チャールズ・テイズ・ラッセル |
創設日 | 1870年代 |
創設地 | アメリカ合衆国ペンシルベニア州ビッツバーグ |
世界本部 | アメリカ合衆国ニューヨーク州ウォーウィック |
信徒数 | 8,695,808人 |
公式サイト | http://www.jw.org/ja/ |
公式ロゴがこちらです。
引用:エホバの証人公式サイト
エホバの証人の創設者であるラッセルは、1881年に「シオンものみの塔冊子協会」を宗教法人化し、現在のエホバの証人の原型となる組織を立ち上げました。
現在はほぼ全世界で「ものみの塔聖書冊子協会」などの法人名で活動しています。
エホバの証人の「エホバ」とは、旧約聖書に記された神の名前とされるヤハウェを英訳したもの。
「エホバの証人」を日本語に直訳すると「神様の証人」ということになります。
発足地であるアメリカにおいてはエホバの証人の信者はかなり多く、2021年時点のアメリカのエホバの証人の「パブリッシャー」(正規協会員)は124万2,370人で、人口比0.37%となっています。
日本においては信者の高齢化が進んでおり、60~80代の1世信者、30~50代の2世信者が組織の大半を占めています。
エホバの証人とキリスト教との違い
エホバの証人も、モルモン教と同様にキリスト教をベースに誕生しており“キリスト教風”の宗教団体と言われています。
キリスト教をベースにしているのでキリスト教系列の宗教に見られがちですが、厳密にいうとエホバの証人はキリスト教ではないとされています。
エホバの証人やモルモン教(末日聖徒イエス・キリスト教会)、統一教会(原理運動)などの団体は、基本的な教義の違いからカトリック教会、正教会、プロテスタント教会諸宗派といったキリスト教の主流層から「キリスト教ではない」とされています。
エホバの証人の活動は何をしてるの?
「エホバの証人」の活動は、主に宗教活動と社会活動です。
彼らの宗教活動とは、信者が週に数回「王国会館」に集まって聖書研究をすることや、一般家庭を訪問して戸別伝道をすることです。家に訪問が来たなどの経験がある方は多いかと思います。
「エホバの証人」の宗教活動には、他のキリスト教の宗教団体に見られるような宗教儀礼は非常に少なく、聖書研究と戸別伝道の2つが大きな柱となっているようです。
エホバの証人における聖書研究
引用:東洋経済オンライン
エホバの証人の信者がおこなる聖書研究ついては、以下の3つの活動があるようです。
- 「王国会館」での聖書研究…週2回「王国会館」に信者が集まって行うもの)
- 「会衆の家」での聖書研究…毎週火曜の夜に会衆のひとりの自宅で「エホバの証人」の出版した単行本を勉強していくもの
- 「未信者の家」での聖書研究…「エホバの証人」の戸別伝道を受けた未信者が彼らの勧めに応じて、毎週1回時間を決めて勉強するもの
研究(勉強)をする際には、本部の発行するテキストを使って2人1組になって伝道者と未信者の役をして劇のようなことをして伝道のテクニックを覚えていくなどの方法があるとされています。
エホバの証人における戸別伝導
引用:エホバの証人公式サイト
続いて、エホバの証人の宗教活動のもうひとつ戸別伝道については基本的に全ての信者が行うことになってます。
その方法は大きく分けて以下の3つになります。
- すべての戸口に立つ
- 冊子『ものみの塔』『めざめよ』の頒布
- 「未信者の家」での聖書研究
の3段階である。
エホバの証人のテキストでは、「常に子どもたちを教えなさい」という教義があるため、外での訪問活動にも子供を連れて歩く親は多いようです。(親の伝道する姿を見せて、自分の子供たちを「エホバの証人」の信者にさせる目的)
この子供への影響については年々問題視する声があがっており、宗教2世、3世の子供たちが声を上げることも増えています。
エホバの証人はなぜ輸血を拒否するのか?
エホバの証人といえば、輸血拒否の教義があることは有名です。
子供が事故や病気で輸血が必要になっても、エホバの証人の信者の親が輸血を拒否する…という話も現実にあるようです。
なぜ輸血を拒否するのかについて、エホバの証人の公式サイトではこう明かされています。
この問いに関係してくるのは,医療上の理由というよりも,宗教上の理由です。旧約聖書も新約聖書もはっきりと,血を避けるよう命じています。(創世記 9:4。レビ記 17:10。申命記 12:23。使徒 15:28,29)神はまた,血は命を表わすものと見ておられます。(レビ記 17:14)ですから,血を取り入れることを避けるのは,神の命令に従いたいからというだけでなく,命を与えてくださった神に敬意を払いたいからでもあるのです。
引用:エホバの証人公式サイト
血を避けるように命じられているため、また命を与えた神に敬意を払うため、とのこと。
近年輸血拒否が危険だと指摘する声が増えていることについては「見方は変わりつつある」として以下のような主張が掲載されていました。
医学界では一時期,無輸血医療は極端であり自殺行為に等しい,とさえ見る向きがありました。しかし近年,そのような見方は変わってきています。例えば,ある医学雑誌に2004年に掲載された記事には,「エホバの証人に対して用いるために開発された技術の多くは今後,標準的な手法となってゆくだろう」と述べられています。 d さらに,2010年に医学誌「心臓,肺,循環」(Heart, Lung and Circulation)に掲載された記事にも,「“無輸血手術”は,エホバの証人に限るのではなく,通常の手術の際にも普通に用いるべきものである」と記されています。
今では世界中に,血液温存法を用いて複雑な手術を輸血なしで施す医師たちがいます。輸血に代わるそのような方法は,発展途上の国でも用いられており,エホバの証人以外の患者でもそれを希望する人は少なくありません。
引用:エホバの証人公式サイト
近年は医療の発達で輸血なしで手術を行う医師も増えている、とのこと。
根本的に疑問が解決されていないような気もしますが、本部の主張を見る限りは今後も輸血拒否の教義が変わることはなさそうです。